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技術提案1 【防潮水門・・捩り構造】

 

反りの緩和と最適設計

                      内  容


内容


1.はじめに

 薄肉閉断面の捩り構造は閉断面積の自乗で荷重に抵抗するので、部材の二次モーメントで抵抗する曲げ構造に比較して圧倒的に有利であり、この差は径間が増すに従い拡大します。

 捩り構造の防潮水門には単純捩り曲げ捩りが発生します。単純捩りの剪断応力は断面内に一様に分布し、曲げ捩りの剪断応力は波打ちます。外部からの荷重に抵抗する主役は単純捩りですが、剪断応力の最大値は曲げ捩りの存在で著しく増加します。更に、曲げ捩り剪断応力と釣り合う垂直応力が存在します。垂直応力は断面の反りと因果関係があります。

 反りを緩和すれば垂直応力と曲げ捩り剪断応力が減少します。しかし、断面係数が低下して変形量が増え、応力低減効果を帳消しにする可能性があります。

 捩り構造の変形を大きく支配している断面係数はJtです。反りの緩和操作でJtが減少しても、断面の形状変更でこれを補い自重低減を計ることができます。

 コスト低減を目標とする最適設計に反り緩和と形状変更の組み合わせを適用して捩り構造の優位性をより確かなものにすることが可能です。


2.曲げ捩りの影響

2.1 内力変化

 図−2−1は内力に大きな変化がないことを示す為の箱型断面の事例であり、名称を箱型断面の基本ケースと付けます。

箱型断面の基本ケース諸元

 図−2−2および3は単純捩り理論による内力の解析結果、図−2−4〜6は曲げ捩り理論による内力と変形の解析結果です。単純捩り理論による捩り変形は曲げ捩り理論のグラフに示しました。尚、Y軸周りの曲げモーメントMy、および、X軸方向の剪断力Qxは零です。支承点と剪断中心がX軸上にあることがその理由です。

 単純捩りに曲げ捩りが加わった場合の断面内力の変化は下記の通りです。
@内部捩りモーメントが若干増減するが、支持端の値は変わらない。
A曲げと単純捩りモーメントの合計は内部捩りモーメントに等しい。
B曲げモーメントと剪断力は若干減少する。
C捩り変形量は若干減少するが、自由端の値は変わらない。

箱型断面の内力解析

2.2 応力変化

 断面内に比較的均一分布する剪断応力が曲げ捩りモーメントの加算で大きく波打ち、最大値が大幅に増加することを魚腹型断面、および、箱型断面の例で示します。応力分布の表示断面を1外、1内などの形で示します。数字は断面番号を示し、外または内は径間方向の中心線に対して外側または内側であることを示します。曲げ捩りモーメントが支承位置で反転して応力分布が全く異なるので、支承を含む断面の両側応力を表示しました。断面番号と中心線は各ケースの諸元図に示します。

2.2.1 魚腹形断面の応力

 魚腹形断面は貯水池や河川の転倒ゲートに多く見られます。図−2−7は魚腹型事例の諸元を示します。断面番号0が支持端、8が自由端です。

魚腹型断面事例の諸元

 図−2−8が単純捩り理論の応力、9が曲げ捩り理論の応力です。横軸は図−2−7に示す断面に沿ったガース長であり、0、1、2、3点は同図の桃色点に対応します。

 単純捩り(図−2−8)の説明:剪断は剪断応力の略称で、単純捩り応力に曲げに伴う剪断応力を加算した値、垂直は垂直応力の略称で、X、Y軸周りの曲げモーメント応力の合計値であり、主σ1および主σ2は主応力の略称で、剪断応力と垂直応力から算出した値です。σ1およびσ2が剪断応力に近いことは応力状態が純剪断に近いことを意味します。

 曲げ捩り(図−2−9)の説明:剪断は剪断応力の略称で、単純捩り応力、曲げ捩り応力、及び、曲げに伴う剪断応力を合算した値、垂直は垂直応力の略称で、断面の反りに伴う垂直応力とX、Y軸周りの曲げモーメント応力の合算値であり、主σ1および主σ2は主応力の略称で、剪断応力と垂直応力から算出した値です。σ1およびσ2が量的に剪断応力に近いことは応力状態が純剪断に近いことを意味します。垂直応力の殆どを占める反り応力は断面応力の支配的要素ではありません。剪断応力及び主応力はグラフのプロット点数が増せば滑らかになる筈です。曲げ捩り理論による剪断応力の増加量は約33%です。

魚腹型断面の応力変化

2.2.2 箱型断面の応力

 箱型断面は大型船舶修繕ドック用転倒ゲートへの適用実績がある。技術提案の防潮ゲートはこの形が有利と考えられます。断面応力の事例として、作用捩りモーメントが大きいゲート支持端近傍と作用捩りモーメントが小さい自由端近傍の例を示します。

2.2.2.1 支持端近傍

 図−2−1の基本ケースについて支持端近傍の断面応力を示します。支持端近傍では作用捩りモーメントが最大です。

(1)断面1外

 図−2−10が単純捩り理論の断面応力、11が曲げ捩り理論の断面応力です。横軸は図−3−1に示す断面に沿ったガース長であり、a、b、c、d点は同図の桃色点に対応します。

 単純捩り(図−2−10)の説明:剪断は剪断応力の略称で、単純捩り応力に曲げに伴う剪断応力を加算した値、垂直は垂直応力の略称で、X、Y軸周りの曲げモーメント応力の合計値であり、主σ1および主σ2は主応力の略称で、剪断応力と垂直応力から算出した値です。σ1およびσ2が剪断応力に近いことは応力状態が純剪断に近いことを意味します。

 曲げ捩り(図−2−11)の説明:剪断は剪断応力の略称で、単純捩り応力、曲げ捩り応力、及び、曲げに伴う剪断応力を合算した値、垂直は垂直応力の略称で、断面の反りに伴う垂直応力とX、Y軸周りの曲げモーメント応力の合算値であり、主σ1および主σ2は主応力の略称で、剪断応力と垂直応力から算出した値です。σ1およびσ2が量的に剪断応力に近いことは応力状態が純剪断に近いことを意味します。垂直応力の殆どを占める反り応力は、断面応力に若干の影響があるものの支配的要素ではありません。曲げ捩り理論による剪断応力の増加量は約20%です。増加区分はa〜b(底板)とc〜d(頂板)、減少区分はb〜c(側板)とd〜a(側板)です。

箱型断面の応力変化

(2)断面1内

 図−2−12が単純捩り理論の断面応力、13が曲げ捩り理論の断面応力です。横軸は図−2−1に示す断面に沿ったガース長であり、a、b、c、d点は同図の桃色点に対応します。

 単純捩り(図−2−12)の説明:剪断は剪断応力の略称で、単純捩り応力に曲げに伴う剪断応力を加算した値、垂直は垂直応力の略称で、X、Y軸周りの曲げモーメント応力の合計値であり、主σ1および主σ2は主応力の略称で、剪断応力と垂直応力から算出した値です。σ1およびσ2が剪断応力に近いことは応力状態が純剪断に近いことを意味します。

 曲げ捩り(図−2−13)の説明:剪断は剪断応力の略称で、単純捩り応力、曲げ捩り応力、及び、曲げに伴う剪断応力を合算した値、垂直は垂直応力の略称で、断面の反りに伴う垂直応力とX、Y軸周りの曲げモーメント応力の合算値であり、主σ1および主σ2は主応力の略称で、剪断応力と垂直応力から算出した値です。σ1およびσ2が量的に剪断応力に近いことは応力状態が純剪断に近いことを意味します。垂直応力の殆どを占める反り応力は、断面応力に若干の影響があるものの支配的要素ではありません。曲げ捩り理論による剪断応力の増加量は約22%です。増加区分はb〜c(側板)とd〜a(側板)で、減少区分はa〜b(底板)とc〜d(頂板)です。

箱型断面の応力変化

2.2.2.2 自由端近傍

 図−3−14の箱型事例で自由端近傍の断面応力を示します。自由端近傍に於ける作用捩りモーメントは比較的小さいです。断面番号0が支持端、10が自由端であり、断面8及び9の応力を示します。

箱型事例の諸元

(1)断面8外

 図−2−15が単純捩り理論の断面応力、16が曲げ捩り理論の断面応力です。横軸は図−2−14に示す断面に沿ったガース長であり、a、b、c、d点は断面上の桃色点に対応します。

 単純捩り(図−2−15)の説明:剪断は剪断応力の略称で、単純捩り応力に曲げに伴う剪断応力を加算した値、垂直は垂直応力の略称で、X、Y軸周りの曲げモーメント応力の合計値であり、合成は剪断歪みエネルギ説による合成応力の略称、及び、主σ1および主σ2は主応力の略称で、どちらも剪断応力と垂直応力から算出した値です。σ1およびσ2が剪断応力に近いことは応力状態が純剪断に近いことを意味します。

 曲げ捩り(図−2−16)の説明:剪断は剪断応力の略称で、単純捩り応力、曲げ捩り応力、及び、曲げに伴う剪断応力を合算した値、垂直は垂直応力の略称で、断面の反りに伴う垂直応力とX、Y軸周りの曲げモーメント応力の合算値であり、合成は剪断歪みエネルギー説による合成応力の略称、及び、主σ1および主σ2は主応力の略称で、どちらも剪断応力と垂直応力から算出した値です。σ1およびσ2が量的に剪断応力に近いことは応力状態が純剪断に近いことを意味します。垂直応力の殆どを占める反り応力は、断面応力に若干の影響があるものの支配的要素ではありません。曲げ捩り理論による剪断応力の増加量は約114%である。増加区間はb〜c(側板)とd〜a(側板)、減少区間はa〜b(底板)とc〜d(頂板)です。

箱型事例の応力変化

(2)断面9内

 図−2−17が単純捩り理論の断面応力、18が曲げ捩り理論の断面応力です。横軸は図−2−14に示す断面に沿ったガース長であり、a、b、c、d点は断面上の桃色点に対応します。

 単純捩り(図−2−17)の説明:剪断は剪断応力の略称で、単純捩り応力に曲げに伴う剪断応力を加算した値、垂直は垂直応力の略称で、X、Y軸周りの曲げモーメント応力の合計値であり、合成は剪断歪みエネルギー説による合成応力の略称、及び、主σ1および主σ2は主応力の略称で、どちらも剪断応力と垂直応力から算出した値です。σ1およびσ2が剪断応力に近いことは応力状態が純剪断に近いことを意味します。

 曲げ捩り(図−2−18)の説明:剪断は剪断応力の略称で、単純捩り応力、曲げ捩り応力、及び、曲げに伴う剪断応力を合算した値、垂直は垂直応力の略称で、断面の反りに伴う垂直応力とX、Y軸周りの曲げモーメント応力の合算値であり、合成は剪断歪みエネルギー説による合成応力の略称、及び、主σ1および主σ2は主応力の略称で、どちらも剪断応力と垂直応力から算出した値です。σ1およびσ2が量的に剪断応力に近いことは応力状態が純剪断に近いことを意味します。垂直応力の殆どを占める反り応力は、断面応力に若干の影響があるものの支配的要素ではありません。曲げ捩り理論による最大剪断応力の増加量は約86%です。増加区分はa〜b(底板)とc〜d(頂板)、減少区分はb〜c(側板)とd〜a(側板)です。

箱型事例の応力変化

3.反りの緩和3.1反り0の条件

3.2 反り0の事例3.2.1 レンズ型断面

レンズ型断面

3.2.2 箱型断面の反り0事例

(1)反り関数と剪断流

 図−3−6〜9が反り関数と剪断流の断面分布図で、tfが反り0条件に近付くに従い減少して行く様子を示しています。図6が基本ケース(tf=34mm)、図7がtf=16mm、図8がtf=14mm、図9が反り0ケース(tf=12.4mm)です。

反り関数と剪断流

(2)反り関連諸量と構造解析結果

 反りと剪断流の定量的な減少過程と反り0操作が構造全体に与える影響を示します。構造解析は文献(6)の弾性方程式によりました。

反り関連諸量と構造解析結果

3.3 反り条件と最適設計3.3.1 形状変更の方法

3.3.2 最適設計の方法

 反り0条件の活用目的を自重低減に置いて来ましたが、最適設計の目的はコストの削減です。

 コストの構成要因は材料費、加工費、運搬費、現地建設費、維持・管理等様々であり、必ずしも自重最小がコスト最小に繋がりません。例えば、反り0条件適用で応力が増加した部分に特注板厚の高強度材をはめ込んで最小重量を維持する選択肢があります。しかし、材料費と加工費が上昇するので、自重を増して材料強度を維持する案がコスト的に有利かも知れません。

 また、断面応力として、捩り、曲げ捩り、反り、曲げなど構造物の全体変形で発生する応力を検討対象としましたが、作用水圧による扉板や防撓部材の曲げ、支承部や支持端の支持反力による曲げなど、局部応力にも対応する必要がありますので、反り0条件で計画された構造が最小自重である保証もありません。

 現実的には複数計画案からの最良案選択が最適設計を得る常套手段であるとするならば、最適設計は反り0条件を満たす点だけでなく、反り0条件への接近線とJt補強を目的とする形状変更線で作られた面状範囲からの選択となります。

4.おわりに

@薄肉閉断面の捩り構造は曲げ構造より圧倒的に有利です。
A捩りには単純捩りと曲げ捩りの2種類があります。
B単純捩りでは単純捩りモーメントにより捩り剪断応力が発生します。
C曲げ捩りでは曲げ捩りモーメントが加わって剪断応力が波打ちます。
D波打ち応力の最大値は200%以上になることもあります。
E反りの低減で曲げ捩り剪断応力が減少、又は、消滅できます。
F反りの低減操作でJtが低下して応力が増加します。
G断面の形状変更によるJt補強で応力増加が抑制できます。
H反り0条件を含む最適設計で捩り構造の優位性が更に高まります。

添付資料1.参考文献

(1) H.Wagner、Verdrehung und Knickung von offenen Profilen、Festschrift. 25 Jahre T.H. Danzig、 S.329、1929
(2) H.Wagner, W. Pretscher、Verdrehung und Knickung von offenen Profilen、Lufo., Bd 11. Nr.6、1934
(3) 倉西正嗣、弾性学、国際理工研究社、1949
(4) 倉西正嗣、応用弾性学、共立全書、1957
(5) 奥村敏恵、薄肉弾面の曲げ捩り特性、構造工学に於ける最近の諸問題、1967
(6) 寺田溥、捩り構造ゲートの解析方法、ダム工学 Vol.7 No.1 1997
(7) 寺田溥、水門扉の大型化と高圧化に関する研究、学位論文、1996(東洋大学提出)


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